SALON people_#01

 SALON people_#01

Sophie Richard(ソフィー・リチャード)

ロンドン在住のフランス人美術史家、ソフィー・リチャード。10年におよぶ調査期間を経て、昨年、日本国内にある50の美術館を世界に向けて紹介するガイドブック『The art lover's guide to Japanese museums』(ロンドン、ジャパン・ソサエティ刊)を上梓しました。

「日本は美術館王国です。海外では殆ど知られていませんが、日本には1,200以上の美術館があります。津々浦々、どんなところにでも。驚くほどです。美術館を訪れれば、古今を問わず、あらゆる日本の文化に触れることができる。でも外国人にとっては、あまりにも数が多くバラエティに富んでいて、戸惑うこともあるでしょう。英語で情報を発信している美術館が少ないため、ガイドブックが必要なのです」

 

十数回目の来日を果たし、SALONにやってきたソフィーに話を聞いてみました。 

 

ー神戸に来たのは初めてとか?

ええ。初めてです。短い時間でしたが、SALONのある辺りの雰囲気はよかった。細い道に小さなお店が並んでいて。SALONだけでなく、お昼を食べに行ったお寿司やさん、昔ながらのお煎餅やさんのように、個性のある小さなお店を見つけて入るのは楽しいものです。巨大チェーンのお店ではなくね。それから、神戸はすぐ近くに自然があるのも驚きでした。車で少し走ると山や森に行けることで、都会暮らしが豊かなものになります。もちろん、外国人にとって神戸といえば「神戸牛」ですが、今回は食べられなかった(笑)。

 

ー10年以上も日本国内の美術館をめぐり歩いたんですよね? 何がそれほどまでにあなたを惹きつけたのでしょう?

美術館は、日本文化に触れるための入口として最高だと思います。美術館に行くと、もちろん美術作品を見ることができますが、それ以外の日本の文化にも出会えます。日本らしい伝統的な建物、現代建築やデザイン、時には庭園や茶室があったり、それに日本の人々と触れ合うこともできる……。日本の美術館はとても質が高いので、訪れるのが楽しみでなりません。日本全国あちこちに驚くほどたくさんの美術館がありますから、誰にでも自分の興味に合う美術館があるはずです。こんな日に行きたい美術館とかね。それに、美術館めぐりを理由にすれば、日本中を旅することができる。四国や九州、いろんな島に行って、そこにある伝統文化を楽しむのに理想的な方法なんです。

 

ー日本ならではの個性的な美術館として、印象に残っているのはどこですか?

う〜ん。それは難しい質問ですね。私が知っている美術館は、サイズも違えば、異なる時代の作品を展示しているから……。それにその時々にもよります。小さくて親しみやすい美術館に行きたい気分の時もあれば、午後じゅうずっと、大きな美術館で収蔵品や展覧会を見続けたい時もあるし……。

でも、ベネッセ・アート・サイトは特に印象に残っています。三つの島を訪れて素晴らしい芸術と建築に出会えたし、自然や小さな村の暮らしに触れることもできました。京都では河井寬次郎美術館が好きです。雰囲気がとてもいいし、陶芸家自身の家で彼の生き方と芸術を知ることができますから。サインがあちこちにあったり、警備員が立っていたりしないので、当時の雰囲気がよく伝わってきます。

 

ー日本に興味をもつようになったのは、14歳の時に見た映画「利休」(1989年、監督:勅使河原宏)だったそうですが、遠い異国の地にどういう思いを抱かれたのでしょう?

「利休」は私自身が思い出せる最初のきっかけですが、日本文化への興味はその前からあったはずです。あの映画には、本当に夢中になりました。特に、古い建築、衣装、自然、人々の立ち居振る舞いといった美的な部分にです。私はそれまで利休のことを知らなかったので、建築や衣装を見ても、ヨーロッパの映画を見ている時のように、どの時代のお話かがわからなかった。ただ自分が見たものが大好きになって、どういうわけか「置き去りにされた」ようには思えないのに感銘を受けました。いつの話かわからなかったけど、全てがある意味でとても現代的に思えました。とても洗練されていた。

 

ー実際にこうして何度も足を運んでみて、日本への思いはどのように変化しましたか?

たぶんこれで12回目の来日だと思うんですが、ここに来るたびに、もっといろんなことを理解したくなります。でも同時に、ただここで暮らして経験を重ねるのが大事だとも感じています。日本人の友達もいるし、ここでの仕事もあるし。私は今もこの国に魅了され、関心を持っています。日本にいると幸せだし、のんびりした気分になれるんです。 

 

 ソフィー・リチャード著『The art lovers's guide to Japanese museums』について ->

 

 

 

 


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