SALON showcase:岩井希久子展

8月 21, 2015

SALONでは、これからの時代に必要な「技」と「知」をご紹介する、SALON showcase を始めます。

画:岩井壽照

 

第一回の主役は、絵画保存修復家の岩井希久子さん。

岩井さんは1955年、熊本市生まれ。熊本県立美術館建設準備室長だった父親から「絵画保存修復」という仕事があることを教えられ、その道に進むことを決意します。その後1980年に渡英して、ロンドンのナショナル・マリタイム・ミュージアムで修復の技術を学び、84年の帰国から30年以上もの間、フリーランスで、印象派から現代美術まで幅広いジャンルの作品の保存修復に携わっています。
 
彼女がこれまで関わってきた作品のなかには、フェルメールやレンブラント、モネ、ゴッホ、ピカソなど、世界中の名画が数多くあります。いずれもが問題を抱えた“患者”のようなものでした。岩井さんは“医者”として、その時の作品の状態をできるだけ正確に把握し、最も適切な処置をする。そのために、画家独自の技法や制作当時の材料を調査するだけでなく、作品に込めたその想いまでもをじっくり考えると言います。画家自身の心に寄り添い、必要以上の修復はけっしてしない。それが岩井さんの哲学です。
 
その一方で、新しい修復技術を積極的に採り入れる試みもしています。女性がアンチエイジングのために肌の手入れをするように、絵画をその大敵である酸素に触れさせないよう密閉する「脱酸素密閉」という方法を開発し、作品保存に役立てています。
 
たとえば、東日本大震災時に福島で被災した小川正明の銅版画。震災後、奇跡的に発見されたその銅版画を、岩井さんは泥だらけのまま脱酸素密閉の処置を施しました。あえて修復の手を入れず、そのままの姿で未来に遺すという選択をしたのです。
 
「作品を救う」という強い信念を抱きながら、常に新しい保存修復の可能性を探し求める柔軟さを併せ持つ、岩井希久子さん。SALON showcase では、大小さまざまな筆や刷毛、作業時には手放せない拡大鏡など、彼女が日々愛用する道具にくわえ、ゴッホの《ひまわり》やベトナム人画家グエン・ファン・チャンの絹絵を修復する映像作品、さらには上述の福島で被災した小川正明の銅版画をご紹介します。
 
8月30日(日)には、岩井さんを神戸にお招きし、絵画修復についてお話いただく、SALON talk を開催します。
傷を負った美術作品に生命を吹き込む、素晴らしい技術と、それを支える哲学についてふれる、またとない機会になることでしょう。 
 
| SALON talk |
2015年8月30日(日)14:00-16:00
guest:岩井希久子
moderator:林 寿美
要予約(t. 078-393-1187)/先着20名様/参加費1,000円
 
| SALON showcase |
絵画保存修復家 岩井希久子
2015年8月29日(土)〜9月23日(水・祝)
11:00-19:00(月・水・木・金)
10:00-17:00(土・日・祝)
火曜日定休(9/22はOPEN)
 
主催:サロンアンドアソシエイツ株式会社
協力:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館/福島県新地町役場/三谷産業株式会社/
株式会社 クリエイティブ・ポジション・コア/三菱瓦斯化学株式会社/株式会社ビームス



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