寺崎百合子《Wells Cathedral Library》2020年 色鉛筆、紙 38.2×57.9cm
このたびSALONでは、寺崎百合子と貝塚健による展覧会「Obscurité」を開催いたします。
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黒の色鉛筆をベースに、丹念に情景を描写する作家、寺﨑百合子(1952- )。
本展では、イングランド南西部に位置するウェルズ大聖堂の図書館を描いた新作ドローイングを展示します。
幾世紀にも渡り、修道士たちによって大切に守られてきた革装の古い書物。勤勉な僧衣の袖によって使い込まれ、磨かれてきた書見台。
こうした景色が暗闇に浮かび上がる時、ここに厳かに流れ続けてきた時間、ひっそりと降り積もった知識の層、そしてそこに学んだ人々の物語が静かに蘇ってくるようです。
その瞬間、私は異次元の世界に立っていた。
それは、静かな黄金色の闇が幾重にも折り重なり、何百年の時間を経て深い褐色に沈殿している空間だった。
そこには幾千幾万の言葉が知識となり、思想となり、やがて詩となってひっそりと息を潜めていた。
(小川百合名義 著書『英国オックスフォードで学ぶということ 』2004年、講談社)
【ウェルズ大聖堂図書館について】
1450年代設立当時、イングランドで最も大きな規模を誇ったこの図書館には、1800年以前に出版された書物が約2,800冊収められています。
その内容は神学、科学、薬学、歴史、世界地図、言語と多岐に渡ります。
なかでも活字版印刷史上、最も重要な印刷物のひとつとされている、1472年版ニコラ・ジェンソン製作の活字によるプリニウス著『博物誌』をはじめ、
ヴェサリウスの解剖学書『ファブリカ』、オルテリウスによる世界初の近代的地図帳のほか、エラスムスの署名や注釈があるアリストテレスによる書物などがあります。
寺崎百合子《シマフクロウ》2011年 色鉛筆、紙 23×38cm
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貝塚健《Roots 002》2020年 ラムダプリント、紙 24.2×36.3cm
本展で作品を初めて発表する貝塚健(1969- )は、写真というメディアを用いながら、生けるものに独自の光をあてています。
路傍に咲く自生の百合を採取し、その固い蕾が次第に膨らんで花弁を開き、優雅に咲き誇り、
ゆっくり枯れ果てていく過程を追いかけながら、植物の生を見つめるのです。
しかしそれは生から死へと向かったわけではなく、時間の経過に伴って細胞が変化したにすぎません。
《Roots 02》は百合の根をモティーフに、地上で花が枯れても地下でなお成長し続ける植物の姿をつまびらかにします。
貝塚健《Lily 001》2020年 インクジェットプリント、紙 59.3×39.5cm
Obscurité|寺崎百合子+貝塚健
会期|November 28 [sat], 2020 - January 23 [sat] 11:00-18:00 ※12/25-1/4、日・月休 ◎会期を延長しました
会場|SALON(神戸市中央区海岸通5番地 商船三井ビル203A号室)tel: 078-393-1187 / email: info@salon-and-associates.com
◎ご来場にあたってのお願い
・「日時」「お名前」「人数」をご明記の上、事前にメールでお申し込みください(宛先:info@salon-and-associates.com)。
・マスクの着用をお願いします。
・発熱、咳、倦怠感などの症状のある方はご遠慮ください。
・手洗い、アルコール消毒にご協力ください。